最高裁判所第二小法廷 昭和35年(オ)959号 判決 1962年8月10日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人村沢義二郎の上告理由一ないし六について。
所論は、民訴七一条所定の参加に同六二条が準用される場合は、「訴訟ノ目的ノ全部若ハ一部カ自己ノ権利ナルコトヲ主張スル第三者」が参加をなす場合に限られるとの前提の下に、昭和三四年法律一四七号による改正前の国税徴収法二三条ノ一に基づく国税滞納処分の債権差押によつて、国が滞納者たる被差押債権者に代位する法律関係は、国が被差押債権者に代つて取立をなしうるにすぎないものであつて、本件の如く右代位に基づき国が民訴七一条による当事者参加をした場合、国は同条にいう「訴訟ノ目的ノ全部若ハ一部カ自己ノ権利ナルコトヲ主張スル第三者」には該当しないから民訴六二条準用の余地がないと主張し、よつて第一審敗訴のまま控訴期間を徒過した原告(被上告会社)の被告(上告組合)に対する請求棄却判決は既に確定しているのに、原審は民訴七一条、同六二条の解釈適用を誤り、参加人たる国の控訴申立により、控訴なき原告の被告に対する請求についても移審の効力を認め、これを審判の対象とする違法を犯したと唱えるが、右冒頭掲記の所論は独自の見解にすぎず、所論国税徴収法の条規に基づく滞納処分の債権差押によつて国が被差押債権者に代位する法律関係を、同条規により差押後国が被差押債権の取立権を取得し被差押債権者の権利を行使しうるに至る関係であるとした原判決の解釈は首肯できるところであり、本件参加訴訟につき、民訴七一条、六二条を適用した原判決には、所論違法はないものというべく、所論はすべて採用できない。
同第二上告理由ないし四について。
所論は、原審において主張も認定もないことを以て、原判決の経験則違反ないし審理不尽をいうものであつて、採用できない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 池田克 裁判官 河村大助 裁判官 奥野健一 裁判官 山田作之助)